先日とある自動車ディーラーの営業マンの方とお話しをしていて、ある言葉が気になっていました。
「私のビジネスの『ユーザー』は・・・」
「この車種を購入する『ユーザー』は・・・」
と、その営業マンは、お客さんのことを「ユーザー」という言葉を多く使われていました。
けっこうこの「ユーザー」って言葉が気になりながら、その場では特に触れずに話を聞いてみました。
「ユーザー」という言葉は、けっこうザックリしているように感じました。
いったいこの営業マンは、どのような属性の方たちを「ユーザー」と行っているのだろうか?って気になり始めました。
しかしふと、マーケティング理論を考え直すと納得がいき始めました。
この営業マンの方は、おそらくマーケティングに触れたことがない方なのだろう。
この営業マンの方は、おそらく「ユーザー」さんのことを、ざっくりとしたくくりしか「知らない」だけなのだと思います。
実は「知っている」か「知らない」で非常に大きな差が生じてしまいます。
例えば、もし「マーケティングを知らない上司」から「ターゲットを絞りましょう」なんて言われても「寝耳に水」になってしまいませんか?
たいがい、こういう上司の方に限って、かつて現役時代に、ターゲットを絞らずにどんな人にでも自分の営業力でガンガン仕事を取っていた人だったりすることが多いです。
要するに「根性で営業をしていた人」に該当します。
そんな上司からすると、「ターゲットを絞る」ということは、「全ての人たちがお客さんになり得るのに、なぜわざわざお客さんを減らすようなことを自らしているんだ!」と、きっと怒鳴られてしまうでしょう。
「足でガンガン稼ぐんだよ!1日100件以上訪問してきなさい!」
こういった「根性で営業をしていた」上司ならこのようにケツを叩いてくることが容易に予想でします。
こういった上司の部下達は、上の命令には従わなければいけないので、とりあえず片っ端に多くのお客さんに会うために飛び出していくことでしょう。
新人の営業マンの方にとっては、「この根性営業が必要な経験何だ!」と言われてしまえばそれまでですが、現実的には非常に大変な思いをするだろうと予想できます。
まあベテラン営業マンにとっては、朝飯前といった感じでしょうね。
もし「マーケティング」を知っている上司なら
1.商品がもたらすベネフィットから逆算して、どのターゲットに合うのかを検討しよう。
2.何人かに試用してもらい、「お核様の声」を取る。
3.競合他社(ライバル)を調べて、自社の優位性や競合他社の優位性を調査する。
4.ターゲットの生活サイクルや、ターゲットが類似商品に対してどう思っているか調査する。
などのアイディアが浮かんできます。
アイディアが出れば、どれが一番、成果が出しやすいかなど試行錯誤しながら進めることが出来ます。
こうして試行錯誤を繰り返しながら「ロードマップ」が完成するでしょう。
営業のロードマップができると
1.自分たちの扱う商品やサービスを求めているターゲット層が分かる。
2.ターゲット層にどのような営業トークをすればヒットするかが分かる。
3.他社では提供できない自社の商品やサービスのベネフィットが分かる。
4.本当の敵がどの競合他社であるかが分かる。
など・・・・
同じ営業で廻っていくにしても、ウキウキワクワクして楽しくなってきます。
手探り状況では、不慮の事態に遭遇したときの対処の仕方が分からず、大きな不安や疲労感を感じてしまいます。
知らないでおくと、時間とコスト、労力が無駄になる
長年の間、個人の「人間力」で営業で活躍してきた人は、「センス」と「勢い」があります。
その「センス」と「勢い」は、その人の個人の能力なのです。
「センス」というものは、その人だけにしかないものなので、他人に引き継ぐことは非常に難関であり、もし可能だとしても膨大な時間が必要になります。
センスのある人は、一種の天才なのです。
営業センスのある人を話して、こういった質問をしたことがあります。
「あなたは、どこでそういった営業センスを勉強したのですか?」
すると聞くと多くのの人が、「長年、営業をしているうちにこうなりました。」
という答えが大半でした。
自問自答で自力で「営業センス」を身につけてきたのです。
私が、その方の「営業センス」について云々語ると殆どの人がこのようにお応えになりました。
「へー、自分はそういう感じに勝手に体感した事で工夫してきたのですね。」
このようにして初めて腹落ちしてくださいます。
ということは、このように体感で「営業センス」を磨いてきているので、それを人に教えることは到底不可能なことなのです。
最終的には、部下に対しても「たくさん経験して自分で「営業センス」を磨きなさい!」
ってうことにならざるおえません。
もちろん実践の反復は必要です。
確かに、「営業センス」を自分で磨くにあたっては実践の反復は必要です。
しかしそれには、正しい方向と順番を追っているかという大きな問題があります。
正しい方向と順番を間違ってしまうと、いつまでたっても「営業センス」を磨く事は出来ません。
もちろん、自分自身の経験で「営業センス」を磨くためには大量の時間と費用と労力が必要となります。
正しい方向と順番を追って「営業センス」を磨く方法とはは、マーケティングを学習することになります。
「営業センス」を磨くとは、営業力を身につけることですが、ターゲットを絞ると、成約率だけでなく、時間効率やコスト効率も上がるので、効果でいうと何倍にもなります。
「知っている」か「知らない」で非常に大きな差が生じてしまいます。
その大変な差を生じさせないためには、少々の時間をかけてでも勉強していただきたいと思います。
そして「知った」ことを少しでもビジネスで生かして「営業センス」を磨くための最短距離を進んでください。
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