グレーな状態を許容する
白もある黒もある
日本人の意思表示について「白黒はっきりしない」とよく言われるけど、それは全然欠点ではないと思っています。
そのような性質があるため、日本は長い間、戦争をするような敵をつくらずに済んだのです。
資源の問題、領土問題などに直面しても、すぐに「戦争だ!」と言わずに粘り強い交渉が出来ているのは、グレーな状態を許容出来ているからだと思います。
国際関係だけではなく、日々の人間関係も同じで、無理に白黒ハッキリさせないほうがいいのです。
若い人たちの間には、なんでもハッキリさせるのがかっこいいという風潮があるようですが、やたら敵味方に分けようとするとろくなことになりません。
相手を敵だと意識すると、相手もあなたのことを敵とみなしてしまいます。
自分の意見を言うことは大切ですが、相手にも意見があることを忘れてはいけません。
逮捕された某IT企業の社長は、仕事の能力はとても高かったのに、あるときから敵と味方を自分で分け始めました。
アメリカの企業だって、白黒ハッキリしているのは会社のスタンスだけで、中で働いている社員は、いろいろな妥協点を見出しながらもがいているのです。
何事も決めつけてはいけない
いろいろなところにひずみが生まれる
そもそも100%の敵も、100%の味方も存在しません。世の中には、いろいろな人が集まり、ぐちゃぐちゃに混ざったグレーになっているのです。
それを白黒ハッキリ分けようとすること自体に無理があります。
同じ罪を犯しても、犯人が置かれた状況や被害者との関係など個別に丁寧に分析し、はじめて判決が下されます。
二人殺したら死刑で、一人だったら無期懲役だなんて分けられるなら、裁判官はいりません。
原発問題にしても、電力会社だけが真っ黒で、ほかの人は真っ白なのかといったらそうではありません。
これまで原発を良しとしてきた私たちにも、多少の色はついています。
その事実を差し置いて、「あいつは御用学者だ」などと決めつけていると、クリーンな思考はできません。
あなたの周りには、あなたにとって嬉しいことをする人も、嫌なことをする人もいるでしょう。
それを単純に「味方だ」「敵だ」と分けてしまうのは危険です。どちらにも、黒い部分と白い部分があります。
もちろんあなたにも同様です。
そうした中でお互いに事情を勘案し、話し合い、妥協点を見つけていくのが私たちのすべきことでないでしょうか。
日本人は、その知的な作業が得意なはずです。
コメントを残す